日本にカジノが解禁されたら、カジノ構想の目的から考えて、より経済効果が見込まれる、
統合リゾート型となる可能性が高い。その関連分野はレジャー、アミューズメント業界にとどまらず、
観光、防犯、外食、建設、設備、金融にまで及び、幅広い分野への波及効果が期待される。
下記の記事は、昨年掲載されたものです。
カジノで景気刺激、復興財源も確保 議連、推進法案を国会提出へ
国内にカジノを中核としたリゾートエリアを整備する構想が本格化する。
民主、公明、自民などの超党派議員連盟が
10月中に召集される次期臨時国会に
「カジノ区域整備推進法案」を提出する方向で最終調整している。
停滞する国内景気の刺激に加え、
東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で
遠のく外国人観光客を呼び込む起爆剤とするのが狙いだ。
収益を震災復興の財源とすることも視野に入れている。
議連がまとめた原案では、
官民一体の「特定複合観光施設区域整備推進本部」を設けるほか、
内閣府の外局として、民間事業者への認可や監視・監督を行う
「カジノ管理委員会」を置くことが盛り込まれている。
また、国や地方自治体はカジノの収益から納付金を徴収し、
震災復興に充てることができると明記した。
推進法成立から2年内に
整備区域など詳細を詰めた上で、
実施法を制定する計画だ。
カジノ議連の古賀一成会長(民主党)は「税金を使わずに、
カジノを核として国内外から大型投資を呼び込めば、
復興財源確保と雇用創出のエンジンになる」と意気込む。
世界では、米ラスベガスやマカオをはじめ約120カ国・地域に合法カジノがあり、
一大観光地を形成。外国人観光客の呼び込みのほか、
地域振興や雇用創出に貢献している。
シンガポールでは、2010年に2カ所の大規模カジノが開業。
同国政府によると、2011年1~3月期の成長率8.3%に対し、
カジノ・娯楽施設を含む「その他サービス」の寄与度は1.3%を占め、
主要産業である金融サービスの1.4%に匹敵する水準に躍進した。
カジノによる地域振興の成功例として知られるのが、米ミシシッピ州のチュニカだ。
1980年代には1人当たりの所得で全米最下位に低迷していたが、
92年のカジノ開設から10年間で道路やホテル、従業員の訓練
学校などに30億ドル(約2300億円)の投資が行われ、
26%にも達していた失業率が5%以下に急低下。
「チュニカの奇跡」と呼ばれている。
カジノ合法化への不安材料としては、
治安の悪化や闇社会とのつながりなどが挙げられてきた。
これに対し、カジノに詳しい大阪商業大学の谷岡一郎学長は
「カジノ設立で犯罪が増加した例は世界にない。
娯楽消費や外国人富裕層の集客といった経済効果による
地域振興のメリットは明白だ」と強調する。
日本は治安がよく、安心して遊べることは、
外国人観光客を呼び込む上で大きな強みとなる。
また、交通インフラに加え、テーマパークや温泉、
美術館などの観光コンテンツが充実しており、
「カジノ単体ではいずれ衰退する」という弱点も克服できる。
テーマパークなどを手がけるアスクプランニングセンターの広崎利洋CEOによると、
東京・台場の場合、30キロ圏内に東京ディズニーリゾートや上野動物園など
年間入場者数が50万人超の施設が42カ所、
100キロ圏内には箱根や熱海など年間来訪者が100万人超の観光地が4地域あり、
「相乗効果は大きい」と指摘する。
これまでに東京都のほか、徳島県や沖縄県、
仙台市がカジノ誘致に名乗りを上げるなど、
地方自治体も前向きだ。
政府は昨年6月に閣議決定した新成長戦略で
10年後までに訪日外国人を2500万人に増やし、
10兆円の経済波及効果を創出することを目標に掲げた。
ただ、訪日外国人は震災後、8月まで6カ月連続で前年を
割り込み、減少率も前年同月比31.9%減と大幅に落ち込んでいる。
日本の成長戦略の柱の一つである
「観光立国」を推進する原動力としても、
カジノへの期待が高まっている。
【2011年9月29日 産経新聞】
PR